盛岡城跡公園 ビクトリアロードのユリノキ並木
盛岡には、ハンテンボクが似合います。
ユリノキ(Liriodendron tulipifera)は、明治のはじめに北アメリカから渡ってきた早生広葉樹です。 全国の街路樹としておよそ10万本が植えられ、なかでも関東と東北に多く見られます。 盛岡城跡公園の「ビクトリアロード」には、巨木となった37本の並木が続いています。
毎日その下を歩いているのに、山に植える木としてはほとんど検討されてこなかった木。 その可能性をデータで確かめ、盛岡の山づくりの選択肢をひとつ増やしたいと考えています。
全国の街路樹に植えられている
スギに対する樹高成長の早さ
収穫が見込める短い伐期
出典
国土技術政策総合研究所資料 第1246号「わが国の街路樹Ⅸ」(令和4年3月31日現在/全国102,951本・高木17位)
宮城県林業技術総合センターによる大衡村の試験植栽(平成29年度植栽・令和5年度調査/樹高成長 年1.2〜2.3m)
くわしくは「ユリノキとは」をご覧ください。
種を採るところから、木を使うところまで。

種子の確保
盛岡市内を中心に、種子をつける母樹の調査・把握を行い、発芽率の良い種子や実生を集めます。

苗木づくりと普及
発芽率・生存率の向上と、量産のしくみづくり。造林業者が「選べる」状態を目指します。

造林・育林
適地の選び方、植栽密度と方法、食害への備え。下刈りの回数を抑えた、手のかかりにくい施業を探ります。

研究とデータ
成長量や材の性質、生態系への影響を記録します。造林樹種としての指定に必要な材料を揃えていきます。

木材と蜜源の利活用
建築・家具・木工品としての利用に加え、蜜がよく出る木としての養蜂やはちみつの可能性も探ります。

普及・啓発
ハンテンボクマップ、講演会、種取りイベント。「ハンテンボクといえば盛岡」と言われる日を目指して。
目指すこと
技術と知見が、手順になる
北東北で育林できるだけの技術と知見を蓄え、誰でも再現できる手順として整えて、発信の拠点になること。
造林樹種として、指定される
造林業者がユリノキを選べるよう、県・森林管理局・市に働きかけ、造林樹種としての指定と補助対象化につなげること。
盛岡の木として、根づく
「ユリノキ(ハンテンボク)といえば盛岡」と思い浮かべてもらえる、そんな結びつきが育っていること。
まちのハンテンボクを、探す。
盛岡のどこにユリノキが立っているのか。わかっている場所から、少しずつ地図にしています。 葉のかたちを覚えてしまえば、通勤路でも見つけられるようになります。
盛岡とユリノキの、
思いのほか深い縁。
盛岡城跡公園の中津川沿いに「ビクトリアロード」と呼ばれる小道があります。 盛岡出身の新渡戸稲造にゆかりの深いカナダ・ビクトリア市と、盛岡市の姉妹都市提携にちなんで名づけられた道で、 巨木となった37本のユリノキが並んでいます。 ユリノキは農学の学校に好んで植えられてきた木でもあり、 新渡戸の親友だった宮部金吾、盛岡高等農林学校(現・岩手大学農学部)に学んだ宮沢賢治と、 「農学都市・盛岡」の系譜が静かにつながっています。
そして、この木を生涯かけて増やし続けた人も、盛岡から出ています。 農学博士・毛藤勤治(もうとう きんじ)。 県内の自然林を伐った悔いから「償いの木」としてユリノキを選び、 一万一千本あまりの苗を育てて岩手に広げた人です。